「地獄大学」27 悪党の家族と面会①
もっと大学編を続けたい。人生において大切な時期だ。とことん私を反面教師に。
青春真っ盛りの学生時代(青春時代)に友人選びを間違えて人間関係に苦しみ青春を謳歌できないと後の人生に必ず影響を与える。学生時代に受けた屈辱的体験は人生に古傷を残してしまう。
悪党の家族と面会。文字通りだ。決して大学のいじめが悪党の家族にバレたからではない。もちろん高岡なんて既に親友ではない。いじめの加害者だ。
しかしその意に反して「高岡の親友」として高岡の家族の目の前に立たされたのだ。
帰省する時期、悪党どもと私は帰省するので寄り道として高岡の家に外泊するというのだ。高岡は大学の友人を実家に連れてくると宣言していた。
高岡は先に千宮市(仮名)の実家に帰省し、疋田の車で紺野と私が同乗するという手はずだ。連中はウキウキとしていたが私は憂鬱でしかなかった。
よりによって加害者の親と面会?しかも親友ということで?ふざけるな・・・
気分が重かった。
そしていよいよ出発の日。既に高岡は帰省し奴の実家に着いていた。
朝早く、紺野のアパートに向かわなかればならなかった。
気が乗らない自分は時間ギリギリに紺野のアパートに着いた。
紺野は遅い!遅刻だ!と激高した。疋田はニヤニヤしていた。
もうどうでもいい・・。
そういえば紺野のアパートでも散々にいじめをうけたもんだ。
かくして疋田の車に乗り込み片銀市内を後にした。
高速道路に入った。私は疋田の車に乗せられている時は当然口を利かなかった。
苦痛で仕方がなかったからだ。何が楽しくて加害者どもと楽しく話せというのか。
まぁ私はたとえ親しい人とも饒舌になれない。ただのコミュ障であったのだ。
高速道路上でも私は後部座席にて黙っていた。
そこへ紺野が
「おいsiroukii! 何かしゃべれ!そうだ、俺たちの乗る車を追い抜いた車の数を数え続けろ。数字を声に出して叫べ!千宮市に着くまでな!」
嫌だよ、って言っても無駄だった。胸倉つかまれた。
分かったな!ハイハイ・・・・。
「1台!2台!3台!・・・・・・・・104・・115・・!」
必死に声を出した。私はいったい何をやっているんだろう・・・
長い距離を走り続け、ようやく千宮市に入った。
千宮市は片銀市よりも大きい規模の街だった。私も初めて行く街だ。
これが高岡の地元か。もちろんその街には罪はない。いい観光地やグルメもある。
歴史もある。たかが高岡のためにその街のイメージが悪くなるはずがないのだ。
車は千宮駅前に着いた。高岡が出迎えに来た。
疋田が運転し、道案内をして自宅まで導かなければならないので高岡は助手席にて案内をする。当然、紺野は後部座席に座った。
もちろん何が起きたが言うまでもない。
「siroukii!!俺がお前の隣に座ったのが運の尽きだったな!!ワハハ!!」
私の太ももに紺野が強く掴みかかった。私は悲鳴を上げた。
高岡と疋田は笑っていた。いつものことだ・・・。
しばらく千宮市を走る疋田の車。大きな駅のある中心地からどんどん郊外へ走ってゆく。
郊外の閑静な住宅地に車は入った。大きなニュータウンのようだ。
その住宅地の公園の近くのとある住宅に車は入った。
そう高岡の実家だ。
はあ・・私は大きなため息をついた。行きたくない・・。
憂鬱だが仕方がない。
高岡・紺野・疋田そして私の四人は高岡の家の玄関をくぐった。