金の巻き上げが始まる④
とにかく私は理由をつけられては富永に金をたかられてしまった。
ネチネチと執拗な電話やメール攻撃で疲弊するまで心を折られて呼び出される。
渋々会っても金貸してくれるまで富永は帰らない。
いくら罵倒しても富永は引かない。ギャンブルの資金を作るのに必死なのだ。
それほどギャンブルは恐ろしい代物なのだ。富永は依存症かもしれなかった。
金貸しを断り、私が車に乗って逃亡しようとすると
富永は私の車の後部ドアを開け乗り込んでくる。執念はすさまじい。
よく車のボンネットに知人を乗せて車を発進させたために殺人未遂で逮捕されるというテレビニュースを見ることがある。多分しつこい知人がまとわりついてきて車のボンネットに乗っかってしまったのだろう。それと似たようなものだ。
富永はさすがにボンネットにまでは乗らなかったが。
カーチェイスもどきのことをしたこともあった。
私が車で走行していると富永の車と運悪くすれ違ってしまった。
大学時代に就活に行く時にキャンパス内で高岡らに鉢合わせした時のように。
全く運がない。
私も富永の車だとすぐに気づいて逃げることにした。富永も私に気づいたはずだ。
ところが大きな交差点を右折することを選択してしまったのが間違いだった。
交差点の右折は待機時間があり、その間に富永は道を引き返して私の車の後ろにつけてきてしまった。右折は時間をロスするのだ。
(この場合は直進か左折してさっさと現場を離脱するのが正解だった!)
私は無視しながら走行を続けていたが、赤信号停止で車を止めざるを得なかった。
富永は車から降りて私の車の窓ガラスをガンガン叩く。私は無視して車を走らせた。
富永も必死に追いかけてくる。信号のない小さな交差点があり必死な私は交差点に進入した。ぶつかりそうではなかったがダンプカーがクラクションを鳴らしてきた。
危なかった。そのまま富永の車をまいた。
親戚の人がウオーキング中にケガしたから金を貸せとか
怖い先輩やヤ〇ザに金を要求されているから金を貸せとか
本当に手を変え品を変え執拗だった。
私は本当に精神が参ってしまった。
ギャンブルをする人間と親しくしてしまった私が悪いんだが。
競馬なんかにハマった私が悪いんだが
まぁ富永でなくても同じ職場の荻野(仮名)が蚊の鳴くような声で私に話しかけてきた。でもしつこかった。
彼もまたギャンブラーだった。パチンコ三昧で借金を作りまくり金を借りられなくなった。他の職員にも金を借りていた。私にも言ってきた。
ボーナスをパチンコで全部溶かしてしまうことも度々だった。
「siroukii君、金貸して。パチンコで金がなくなっちゃった」
彼からとんでもない発言を聞かされた。
「siroukii君は貯金してそうだから金があると思って」
「僕はもう金融機関から借りられないから、siroukii君が消費者金融に金を借りて私に渡して。少しづつ返すつもりだから」
「!!」
ふざけるな。貯金してそう?私が消費者金融から借金してお前に渡せ??
それは断固として拒否した。消費者金融の金利がどれだけ高いか。地獄に落ちるのは絶対に嫌だから。絶対に断った。
それでもしつこく食い下がってくるから、少しは貸したが当然戻ってこなかった。
書いてきてつくづく自分はダメ人間だなと思った。とんでもない人間にばかり目を付けられる。精神的に追い詰められた私は後に私はまたしても宗教祈祷の力にすがることになる。
それは後の記事に書くとして、次は「強制バイト」について書きたい。
余談だが車でその場を素早く離れたいときは右折は時間のロスだということを学んだ。
直進か左折するという選択が必要かもしれない。もちろん交通安全と交通法規を守ることは大前提だ。