資格試験なのに①
私と坂野さん、そして富永。福祉系の仕事をしている。介護だ。
資格は必須ではないが資格を取得していた方が断然給与も違うし
介護福祉の仕事を続けるなら取得していた方が無難だ。
だから介護職は必然的に多くの人が資格取得に動く。勉強する。
だから私達は資格の勉強をした。
某福祉系国家資格の試験の会場に向かうために私は富永の車で某コンビニへ向かった。
そこでは坂野さんが待っていた。
3人で国家試験の試験会場がある東京へ行くのだ。駅へ車を預けると電車に乗った。
私たちは深刻な面持ちはなかった。福祉の仕事をしているのだから試験も楽勝だろう。
そんな感覚だった。
思い出す。高校時代、大学受験の時に潮田君(仮名)と二度、一緒に受験に行ったが
最初の大学の試験では楽勝モードだったな。
二度目は一転して深刻モードになったけど。その深刻さが真剣さにつながり二人とも合格したわけだが。ま、私はそこの片銀大学で地獄を見るんだけど。
最初の大学に合格していたらどうなっていただろう?
そこでも高岡みたいな奴と知り合ってしまうんだろうか。
話を戻す。
富永はまるで真剣モードではなかった。そればかりか競馬の話をしている。
なんと競馬雑誌や競馬新聞も手にしていたのだ。資格試験なのに!
競馬新聞にびっしりと予想のペン入れをしていた。
それにつられて坂野さんもヘラヘラしていた。
いや、私も同じか。それでも気を取り直さないといけないと思い参考書を手にした。
試験会場の東京まで遠いので一泊二日で東京のビジネスホテルに泊まるのだ。
だから今日は試験の前日ってわけ。
電車で向かった先はなんと・・・競馬場。
富永はウキウキしていた。当時、競馬場ではレースは開催されていたかは失念した。
(資格試験の最中だってのに競馬になんて意識が向くものか)
そこの競馬場でレースは開催されてはいなくても他競馬場でのレースの馬券は買えるし大型テレビでレースの様子は中継される。
富永は早速馬券を購入していた。坂野さんも。私も購入するしかなかった。
何をやっているんだか。
もちろん私は競馬場にいる間も参考書を手放さなかった。
競馬場で資格試験の参考書を読む男。滑稽すぎるだろ。想像しても滑稽だ。ギャグだ。
富永は何レースも馬券を購入しメインレースだけでない。最終レースまで購入していた。資格試験だろ、そんな雰囲気は微塵も感じなかった。
ま、多くは予想が外れたみたいだけどね。私も坂野さんも外れた。これでいい。
富永は明日の日曜のレースの分まで馬券を購入していた。
その後、ビジネスホテルへ3人で宿泊した。
とにかく、資格試験に行くための宿泊なのだがこれはまるで「遊びの旅行」だ。
富永はとにかく解放感ではしゃぎまくっていた。
坂野さんもつられていた。
(坂野さんはとにかく富永に甘かった。いきなり非常識な時間に呼び出されてもニコニコ笑っているし。このブログで何度も言っているが他人の時間を大切にしない奴はダメだ)
ビジネスホテルの3人用の部屋で猥談にふけった。
いや、私は付き合わされていたのだ。モテない自分にとって猥談はきつい。
後の記事にも書くが、私は猥談を毎日のようにしつこく強制してくる奴とも知り合ってしまう。苦しめられたけど、その時はさすがに学習していて奴とは完全無視して今に至っている。
とにかく、これが資格試験に向かう人間の行動なのだろうか?
まるで観光旅行だ。富永の本性は既に出ていたのだ。
結果から伝えておくと3人とも不合格だった。
3人とも勉強していなかった。福祉職だから楽勝でしょの感覚だった。
次の日にそれぞれの試験会場へ向かって試験を受けた。