「地獄大学」8 いじめ本格化へ
さて北村荘で佐木先輩から一喝されて退散した三人組だったが翌日では私に怒りの目を向けてきた。
一時限目で大学で一番大きい教室で授業があったのだがその席上で授業開始前、問い詰めてきた。
「お前の下宿は刑務所かよ」「下宿人は奴隷か」
特に自分らを追い出した佐木先輩に対する怒りは強く
「そいつは自分を中心に地球が回ってるとでも思っているのか」
「格闘技をやっている?鼻にかけやがって」
「格闘技がなんだ?後頭部バットで殴れば一発なんだよ」
これ以降、三人が北村壮を訪れるのは後に一度きりだ。後にひどい目にも遭うが。
(もちろん、一人メンバーは入れ変わっている。その顛末は後で書く)
あからさまに三人は私に暴力を振るうようになった。特に角松。舞台は愚論荘。
高岡の住んでいる別棟は管理人はいない。それに愚論荘は門限がなく他学生の出入りは自由。
何故そんなところにノコノコついていくのかって?友人の高岡に対する忖度さ。
嫌がれば三人がなぜ来ないんだと睨まれる。高岡と知り合ったのが運の尽き。
そんな親友の高岡に紺野や角松といった悪い虫がついて逃れられなくなったのさ。
角松にボコボコに殴られて口を切ることもあった。角松は狂ったように私を殴った。
紺野も小突いてくる。高岡はゲラゲラ笑っている。異常だ。
あまりにも屑みたいな経験で思い出したくないが高岡の野郎は暴行をしている時に
カセットテープに録音してやがった。それも一度や二度ではない。それを聞いて楽しんでいたのだ。当時はスマホがなかったからラジカセで録音していた。全く異常者と知り合ったもんだ。
さらに毎週一日は夜間が地獄となった。以降はそちらがメインだった。水曜日だったか?紺野のバイトが休みの日だというから私は水曜日の夜間は愚論荘に呼び出された。
さっさと逃げればいい?そうもいかなかった。私の住んでいた北村壮は門限が厳しく11時。さらに食事は一斉に時間通りに食べるから。食事が終わる頃合いに紺野から北村壮に電話がかかってくる。
「今から愚論荘に来いや」
中学時代もこんな感じで呼び出されていたっけ。歴史は繰り返す。
高岡と親友だったころ、北村壮のやり方とかは高岡に軽々しく話していた。だからそりゃ紺野に筒抜けさ。
(だからこそ思う。親しくなり立ての人間に肝心な情報は話してはいけないと)
角松はその頃から授業には顔を出さなくなった。きっと大学での勉学が上手くいかなくなってきたのだろうか。大学の現実が分かってきたからなのか。私への暴力は多分その腹いせなんだろう。彼は授業に出なくなり、私への暴力は週一の夜間に限定となった。
とにかく、私は三人から逃れることができなかった。逃げようと行方をくらませば追いかけてくる。
高岡と知り合ったばかりに。
要点
・いくら親しくなったからと言って相手に肝心な情報は教えてはならない。
その相手がとんでもない奴だったら?情報を吹聴してひどい目にあうから。