「地獄大学」7 悲運。インチキ宗教との出会い③
私はもうこんな変な宗教から脱会しないと。そう考えていた。いくら無理やり入信させられたとはいえ、一時的でも洗脳状態にあったことは恥だ。いい理由が出来た。さて脱会を伝えようと。
教団の若い男性信者に匂わせた。
「大学を辞めるつもりだから教団も辞めたい」と。
もちろん、嫌な顔をされた。大学は辞めるつもりはないから嘘をついているからこっちも心苦しかった。
支部長と話をしたときに私は恐る恐る切り出した。友人にバレて騒がれて馬鹿にされているから辞めたいと。支部長は怪訝な顔をして言った。
「本当の友達ならそんなことしないでしょうに・・・・」
本当の友達ね・・。すでに私は高岡とともに紺野や角松らに睨まれ小突かれていた。
胸中は複雑ながらその場を後にした。
今思い出した。嫌な思い出は忘れても突然思い出すものだ。入信してからのこと。教団本部の集会に参加しろと言われた時、私は渋った。そこまでするのかと。支部長は言い放った。
「勝手にしなさい」と。
それを聞いていた渡辺は泣き崩れた。そして私に泣きながら強く説教した。
私は仕方なく本部集会に参加した。
そんな経緯もあったのかもしれないが私は支部長からしたら面倒くさい人物とでも映ったんだろうな。深入りしたらいけないと思われたのではないか。脱会はあっさり認められた。
後日若い男女信者数人で信者宅へ行った。女性信者が自転車で移動していた。私と男性信者は車で移動していた。自転車を漕いでいる女性信者を見て男性信者が爽やかだな~と呟いていたのを覚えている。そして信者宅へ行き渡されていたお守りを返却した。
私は大学入学早々、凄まじい体験をしたものだと思っている。
繰り返しになるが私は信者獲得に動いてはいないし勧誘もしてない。ただ活動していただけ。でも後悔している。教団なんかに入るべきではなかった。
空き缶拾いをしていて渡辺に発見されてしまい、無理やり入信させられた。
でも強く拒否はできたはずだったのだ。走って逃げるべきだったのだ。大声で叫べはよかったのだ。たとえ教団支部に連れていかれたとしても脱走の機会はあったはずだったのだ。それとも空き缶拾いなんて馬鹿げていたのか?あの時、空き缶拾いをしていなければ?でも空き缶拾い自体は後悔していない。私はもっとうまく対応できなかったことを後悔している。
教団にいた人たちは今どうしているのだろうか?教団本部集会に向かう途中のケンカしていた父娘。教団の宴会に参加していた純朴そうな青年。支部長や渡辺、支部の信者の皆さん。教団から足を洗っていると信じたいが・・・。
私の大学時代はオウム真理教が社会問題化されはじめていた。今も昔もカルト宗教は若者の人生を狂わす。大学という若者の青春の場でカルト宗教が虎視眈々と若者を狙っているのだ。もちろん若者だけでない。教団にはお年寄りもいた。人生の終盤で変な宗教に関わってしまうとは。カルト宗教は人々の人生を狂わしてしまう。
読者のみなさんは変な宗教には関わらないように。