「地獄大学」17 お祓い・祈祷にすがる① 溺れる者は藁をもつかむ。
「溺れる者は藁をもつかむ」
ということわざがある。
悪党連中のいじめに限界を感じてきた私。3年夏休みだったか?帰省時に実家の新聞のチラシを読んでいた。そこへお祓いの広告が入っているのが目に留まった。易だかをやっている宗教っぽい広告であり、先祖の因縁とかお祓いで祈祷し悩みを解決しようという内容。今では各地域どうなっているか分からないが私の住んでいる場所ではそのような広告はもうない。当時は頻繁に見かけた。当時の私は伝統宗教自体には嫌悪感はなかった。
むしろ伝統宗教の教義なんかは書籍を買って読んでいた。
(インチキ新興宗教に無理やり入信させられた過去やオウム真理教の例もあり
新興宗教には嫌悪感はあった)
占いや風水だってハマっていた。西に黄色。今日の方位。部屋の家具の配置や方位。
家相、地相、墓相、印相、姓名判断、気学、方位・・・・・暦本や風水本は過去に何冊買ったか分からないくらい。
こうなったのも幼少の頃から続くいじめから解放されたいがために宗教や風水・占いに凝った原因となった。そのくせ効果はなかったが。
件の祈祷チラシも密教系仏教を名乗る寺がやっていた。問題はないだろうと踏んでいた。今の私はきっと悪霊に憑りつかれているかもしれない。祈祷やお祓いをしてもらって自分を浄化してもらおう。そう考えた。このまま大学へ戻ればまた悪党連中に痛めつけられる日々が始まる・・・。よし、やろう。
広告の電話番号に電話をかけた。予約はすんなり取れた。
場所は隣県の大都市にあるらしい。〇〇寺と名乗って入るものの場所は市街地のマンションだった。寺院と言えば田舎の緑深い場所にある和風建築というイメージだが、今の時代は色々あるんだろうくらいには思っていた。
隣県とはいってもそれほど遠い距離ではない。私の実家の街は県境からは遠くないからだ。電車を少し乗り継いでいけば行ける距離だ。
例のマンションに行き、現れたのは30代から40代くらいの女性僧侶。剃髪はしていなかった。そこで本名や住所を紙に書き、今日でなくても良いから家系図を調べて報告してくれと。姓名判断などをしてもらった。大学生にもなっていじめを受けていると告白するのは恥ずかしかったが仕方ない。電話予約した時もその事を話したし。
後日、自分が知るなりに先祖のことを調べて再びマンションへ向かった。もちろん
親には内緒であるので詳しくは調べられなかった。
そこには私の他に10人くらい人がいた。私と同じか。何か深刻な悩みを抱えているのだろう。それぞれ自分の悩みを告白し先祖の洗い出しに共同作業をした。
そして祈祷として女性僧侶がお経を大声で唱えた。私達がよく耳目にする念仏系や禅系の仏教とは違い密教系の仏教だけあって聞き慣れないお経だった。言葉が悪いがヘンテコな聞いたこともないお経に変な気分を覚えた。
ここまで読んだ読者の皆さんはこう感じただろう。
「あれ?この前のインチキ新興宗教の時と一緒の流れじゃね?」
と。そうこの寺院もインチキらしかった。後になり閉鎖されたらしい。
警察の捜査が入ったと噂で聞いた。
結論から言うと私はこの寺院の闇に取り込まれることはなかった。地元と片銀市を往復する忙しさから寺院に追いかけられることはなかった。一応、伝統仏教を名乗っているから無茶は出来なかったのだろうか。
しかし、この一件から私の両親に大学でのいじめが発覚するきっかけになってしまう。
その顛末は次回に。