強制アルバイト③
そのパチンコ屋清掃のアルバイトは大体3年近く位は務めたか。
本当に大変だった。バイト仲間と親しくもなった。汗をかきまくった。
懐かしいとさえ覚える。
富永は私に結婚式の費用を捻出してほしいから、などときれいごとを言っていたが
私は結婚相手なんていないから車のローン返済に充てた。
地方在住だから車は必須なんだ。
ま、そのおかげでローン返済に対して気が楽になりましたわ。
しかし腹立つのは富永は次第にバイトをサボるようになったということだ。
富永自身がバイト勤務の日でなおかつ私が休みの時は必ず電話かメールを入れてきた。
「今日、バイト替われますかね?」
またか。私が夜勤入りなど、どうしても替われないときは渋々と諦めて出勤していた。
とにかく富永はバイトに来なくなった。怠けぐせがついたのだろう。
自分が強引に誘って無理矢理バイトをさせたくせに自分はバイトをサボり私に勤務を押し付けてきたのだ。
バイト仲間はヒソヒソ噂した。
「富永さんは辞めたのかしら」
富永は言ってきた。私が清掃担当者に自分が辞めることを伝えてくれと。
私は突き放した。自分の尻は自分で拭けと。富永は不貞腐れた。
富永はバイトを辞めた。代わりに私はガッツリ働いたがね。
そして、車のローン返済が見えてきたところで私はバイトを辞めた。
なんだろうな。この差は。バイトを逃げるようにして辞めた富永。
しっかり働いた私。
バイト中に私が資格試験を合格し、富永の悔しそうな態度が痛快だったな。
気づいたことがある。
パチンコ台清掃の仕事をしている時に、パチンコ店の店員もまた色々な作業をしているが店員はみんな爽やかな美人やイケメンばかりだった。
怪しい雰囲気の者は一人もいない。大手の強みというか。
中には私好みのドストライクな女性店員もいたが仲良くなんかなれるわけもなく。
そんな暇はなかった。話しかける暇なんぞない。接点は作られない。
バイト初期、富永はここで出会いを見つけるんだよ云々ほざいていたが
アホかと。
とにかく働いた。競馬を辞める決心をさせてくれたバイトには今は感謝している。