金の巻き上げが始まる①
地獄は次のステージへ移行しようとしていた。
ギャンブラーと友人になることがどれだけ悲惨なことになるのか。
私は骨の髄まで思い知ることになる。
ある日、突然に富永から携帯電話で呼び出された。
場所はあるスーパーの駐車場。
またか・・渋々と駐車場へ向かうとすぐに富永もやってきた。
車から降りるなり
「1万円貸してくれ!貸してくれ!このパチンコ屋が熱いんだよ!絶対に玉が出るはずだ!」
とすごい剣幕で言ってくる。ふざけるな・・と断ってもまとわりついてくる。
仕方なくその場を収めるために一万円貸してしまった。馬鹿だから。
これは始まりに過ぎなかった。
翌日、富永から電話がかかってきてパチンコで負けてしまったという報告を受けた。
で信じられないことに取り返したいからもう一万貸してくれとのことだった。
「ふざけるな。早く返せよ!」
私は一度は断った。しかし富永は悪びれることもなくヘラヘラと笑いながら
「いやあ~、ㇲってしまってえ~、次は大丈夫だよお~絶対に絶対に取り返すからさあ、だから頼むよ、僕とsiroukiiさんとの仲でしょ」
「なあ、貸してくれよ、OK??」
「OK????」
しつこく同意を求めてくる物言いといい、とにかくしつこい。
このしつこさは尋常ではなかった。断っても断ってもまとわりついてくる。
車で縦横無尽に移動してきてまとわりついてくる。
絡みついてくる。愚かにもまた貸してしまった。
もちろん、また負けたらしい。そしてまた金の催促をしてくる。
その繰り返しだ。
それにしても私はどうして人を見る目がないのだと思う。
それ以前に、ずっといじめを受けていて弱っていたからだ。すっかり牙を抜かれていた。
富永みたいな奴は私のようなおとなしい人間を見抜くことの能力は群を抜いている。
しつこく迫れば思いどうりになると踏んでいるからだ。