いじめと人間関係で人生狂った男のブログ

私を反面教師にせよ。青春と人生を無駄にするな。

「地獄大学」2 地獄の入り口と分かれ道

片銀大学の新入生オリエンテーションが片銀市郊外のリゾートホテルで行われた。一泊二日だった。私たちを乗せたバスはホテルに向かった。私にとってはこれから地獄の入り口に向かう。希望に胸を膨らませた私は意気揚々とホテルに入った。

随行した大学職員から自分の名前と出身県を書いた胸に着けるネームプレートを渡された。片銀大学はなぜか県外というか日本全国から若者が入学してくる。もちろん地元の片銀県(仮名)も多いが。

事態はすぐに訪れた。各自部屋割りが決められており私は知らされた部屋番号に従い部屋に入った。同時に二人の人物が私に話しかけてきた。

一人は高岡(仮名)、もう一人は久我君(仮名)

「よろしく~。どこの出身?僕は高岡。千宮県千宮市(仮名)さ」

ヘラヘラと話しかけてきた人物こそ私の大学四年の運命を決定づける相手高岡だった。

黒縁眼鏡でゴツい体つきをしていた。聞けば柔道をしていたらしい。

もう一人の久我君は私にはあまり関わらなかったが。ただ後に少しだけ高岡とともに付き合った。運命の分かれ道だったのかもしれない。

久我君は地元の片銀県の碁原市(仮名)とのこと。二人とも高校時代は進学校だったらしいが私は地元の人間でなかったから実態は分からないが。

私も出身県出身地を告げてしばらく歓談した。といっても私は元々無口なうえに初対面だったからぎごちない話しぶりだったが。

その後、大広間で歓迎式典や会食が行われた。大学生活にあたっての注意点とか施設の紹介とかが行われた。私は胸に希望を膨らませた。今までの学生時代は地獄だった。クヨクヨ悩んでどうする??大学デビューだ!!そう誓った。そしてホテルを後にした。

 

 

私と高岡はオリエンテーションで知り合った仲であり親友になった。後日、高岡の下宿先である愚論荘(仮名)にいた。ここは後に私にとって地獄の業火のような場所になる。

これからオリエンテーションで知り合った久我君に会いに行くのだ。片銀大学は郊外に位置しており愚論荘と私の下宿の北村荘は大学の近くにあった。が、久我君は片銀市のやや郊外ではあるものの市街地の賃貸に住んでいた。私と高岡は路線バスを使って久我君から教えてもらったアパート近くのバス停まで向かった。さすがに私が住んでいた街よりも大きい片銀市だ。バスの本数も多い。街が大きく楽しかった。やはり知らない街とは言え街を移動するのは楽しかった。私は現在も旅行や街歩きが趣味である。大学時代があったからこそ街歩きの醍醐味を知ることができたのかもしれない。大学時代は地獄とはいえ合間に街を移動して気を紛らわせた。いいストレス解消だ。今も。

当時、片銀市を走るバスはプリペイドカードを差し込む方式だった。それがとても当時は斬新だった。もちろん現金も使える。PASMOが登場する前の時代だし。

バス塗装もまた斬新だった。派手な広告がバス全面を覆っていた。塗装自体が広告だった。スゴイ!やはり地元を出てみるもんだ。「外」を私は楽しんでいた。

やがてバスは指定されたバス停に着いた。そして少しだけ歩くと久我君の住むアパートに着いた。5~6階建てのとてもきれいなアパートだ。階段を上り私と高岡は久我君の部屋に招かれた。まだ引っ越してきたばかりで荷造り中らしく段ボールがいくつかあった。とてもきれいな部屋だ。3人でしばらく雑談した。本当に当初の頃は幸せだった。

それこそ本当の若者らしい生活だった。しかし後に高岡の本性が明らかになるとは知らずに。

 

意外かもしれないが久我君のアパートを訪れたのはその日が最初で最後なのだ。私はもちろん高岡も訪れることはなかったと思われる。もちろん、その三人で集まることはなかった。私と久我君だけで会ったことは二度とないし、高岡と久我君だけで会ったという知らせも聞いたこともない。奇妙なものだ。交友関係を選ぶ分かれ道というか分岐点があったのだと思う。

真相は分からないが久我君の目には私や高岡はどう映っていたのだろうか。何か感じるモノがあったのだろうか。何か怪しいモノ、胸騒ぎ・・を感じたのか。

だとしたら久我君は先見の明があったのだ。私や高岡に関わってはいけないという直観が働いたのではないか。三人で雑談をしたときに何かを感じたに違いない。だとしたらすごい。当時の彼の気持ちを確かめたいとは思わない。今更久我君に連絡を取ろうとは思わないし彼は今どうしているか分からない。きっと幸せな家庭を築いているんだろう。私と違って・・。人を見抜くことって大事なんだと思わされる。

 

要点

・知り合って間もない相手の気配を感じ取るのはとても大事だ。とにかく一度会ってみる。色々と話をしてその人物から発せられるオーラやサインを見逃さない。何か異常を少しでも感じたらその相手とは距離を取ること。