「地獄大学」32 大学時代の終わりに①
大学編を数日おきにダラダラと続けてきた。まだまだ屈辱的な思い出は存在する。
しかしまとめに入りたい。読者の皆さんにはぜひ反面教師としてほしいから続けてきた。精神的につらかったが大学編の終盤を回顧したい。
私は悪党どもから逃れるために四年に入り就職活動を早めに始めたが大学時代に内定が出ることはなかった。当たり前である。子供の時からいじめを受け続け人間おかしくなっていたから。他人に怯えてオドオドした態度、人間不信、緊張からくるドモリ。普通の人間ではない。
ある会社説明会で採用担当者らから就活生に質問するように言われた。
多くの就活生が手を挙げて質問した。私も勇気を出して質問してみた。
やはり緊張からか声が裏返ってしまった。挙動不審者そのものだ。
採用担当者が二人、顔を見合わせた。私は覚えている。採用担当者らはなんだこいつは?みたいな感情を抱いたのだろう。
そして激しい自己嫌悪の感情が沸いてきた。ああ何をやっているんだ、と。
高岡や紺野、疋田は内定が出た。所詮そんなものである。
大学生活も後半に突入し更に時間が経ってくると私は次第に悪党に金も要求されるようになっていた。というか無理難題を吹っ掛けられてできないと金を要求されるってやつ。もはや断っても無駄であった。もはやどうなってもいいやという精神状態だった。
少ない仕送りや悪党にバレないように単発のバイトをやったり、夏休み冬休みなどで地元に帰省したときにサービスエリアの皿洗いのバイトをして稼いだ金を生活費に充てていた。それがだんだんと少なくなっていった。
もう卒業が近くなりかけた冬のある日、悪党連中に強要されて疋田に金を渡してこいと言われた。仕方なく疋田のアパートへ行った。封筒に入った札(何円か覚えていない)
を疋田に渡した。疋田は不機嫌になり、こんなこと嫌なんだよ、と言い出した。そして
「お前は金で解決する人間なんだろ?これからもそうなんだろ?」
私に言い放った。次の瞬間、私の全身に激しい殺意が駆け巡った。
かつて高岡に向かって激しくキレまくった時とはまた違う感覚なのだ。
この時と同じ殺意は後に3度味わうことになる・・・
てめえも散々金出せ出せ言っておいて・・・今更なんだ?何て言った?
普通の人間なら疋田を殺していた。たとえ殺すまでいかなくても疋田に対して激しい暴力を加えていたはずである。しかし私は体が動かなかった。なぜか?
ヘタレだからである。もう卒業が近くて諦めの境地にもなっていた。
強い殺意を覚えても体が動かない。所詮は私はその程度の人間だった。
私はあの時、疋田に危害を加えなかった事を後悔している。