「地獄大学」20 角松、大学を退学する
悪党連中の一人、角松。ひたすら暴力的な男だった。
大学初期の頃、高岡にくっついてきた時にすぐに見抜くべきだったが。後の祭り。
何が理由か分からないが、次第に大学の授業に出席しなくなり、腹いせに私を殴り続けた。プロレス技もかけられた。他の連中は面白がっていた。録音もされた。
昼間も高岡の部屋で殴られたときは何故か小池君(仮名)もいた。大学入学式の時に初めて少しだけだが仲良くなった人だ。何らかの流れで高岡の部屋についてきたのだろうか。この人と親しくなればよかったか。後の祭り。
その時も角松に殴られた。
高岡なんかは
「ほら!やるんだよ!あの踊りをやれええ!!」
って囃し立てていた。
仕方なく私は屈辱的な踊りをやった。ますます角松は私を笑いながら殴りつけてきた。
小池君は顔を真っ青にしてうつむいていた。小池君、不快なものを見せてしまったな。
そんな角松が大学を退学した。彼の家族が来て連れて帰ったらしい。
「siroukii、お前に嬉しい報告がある。角松学校辞めたってよ」
高岡が言ってきた。
ああそう。そんな感想しか出てこなかった。もう精神的に疲れていたのだろうか。
「ではsiroukii、その件についてどう思う?」
ニヤニヤと嫌味な笑顔で疋田が訊いてきた。
私はすかさず答えた。
「お疲れ様です、と思う」
思い切り皮肉を込めて言った。
角松退学。これで事態が改善したわけではない、のは言うまでもなかった。